Anthropicの著作権和解金、出版社と代理人の請求をめぐり著者が反発
Anthropicの15億ドル規模の著作権和解は、裁判所の承認を経て、実際に資金を配分する段階に入った。しかし支払いの開始は、別の問題を表面化させている。複数の著者が、出版社など第三者が自分の作品に関する和解金を請求しているという通知を受け、しかもその請求者には権利が残っていない、あるいは本来より大きな割合を求めているケースがあると訴えている。
和解金の分配ルール
この訴訟では、著作権作品をAIモデルの学習に使うことと、作品を海賊版として入手することが区別された。裁判官は、一定の条件では著作物を学習に使う行為がフェアユースに当たり得る一方、海賊版による取得は同じ扱いを受けないと判断した。最終承認された和解では、約50万タイトルが支払い対象となり、条件を満たす海賊版作品には1作品当たり3000ドルが割り当てられる。
基本的な分配方法は明確だ。作品が従来型出版社のもとで刊行中なら、著者と出版社が原則として50%ずつ受け取る。自費出版の場合、または絶版などを理由に出版権が著者へ返還されている場合、著者が全額を受け取るはずだ。ただし、どの時点で権利が返還されたかを証明することが難しい。和解の基準では、全額請求を行うための権利返還は、指定された「ダウンロード日」である2022年8月10日より前でなければならない。
著者が問題視する理由
ミステリー・スリラー作家のApril Henryは、何年も前に権利が返還された作品についてHarperCollinsが請求したとして、公開の場で疑問を呈した。作家向けブログWriters BewareのVictoria Straussによれば、寄せられた苦情は大きく二つに分かれる。出版社がすでに権利を持っていない作品を請求しているケースと、本来は半額しか受け取れないのに全額を求めているケースだ。
Straussは、すべてを意図的な不正とみなすことには慎重だ。出版契約やレーベル、権利返還に関する記録は複雑で、単純な管理ミスでも誤請求は起こり得る。一部の出版社はミスを認め、Anthropicに修正を求めたとされる。全米作家協会のMary Rasenbergerも、出版社が組織的に著者の取り分を奪おうとしている証拠だとは見ていない。
一方で、同じ種類の誤りが短期間に何度も報告されている点は軽視できない。さらに、一部の文芸エージェンシーも和解金の割合を請求しているとの報告があり、著者の反発を招いている。エージェントは通常、著者を代理する存在であって、作品そのものの権利者ではないためだ。
この問題が示すこと
AI著作権紛争は、裁判所が和解を承認した時点で終わるわけではない。誰が権利者なのか、過去の契約がどう変化したのか、そして資金を誰にいくら渡すのかを検証可能な形で管理する必要がある。
著者にとっては、契約書、権利返還の通知、印税記録を保管し、届いた請求内容と照合することが重要になる。出版社やエージェンシーも、請求前に権利の履歴を監査できる状態にしなければならない。今後のAI著作権和解では、金額の大きさだけでなく、明確な適格基準、異議申立ての手続き、追跡可能な分配記録が信頼性を左右する。
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