Meta、AIデータ収集を巡る商用規約の更新を無期限延期
導入
Metaは、Facebookのビジネスページに掲載された外部リンクの先にあるウェブサイトを、より広範にクロールできるようにする商用規約の更新を無期限に延期した。Metaはロイターに対し、関係者との協議を続け、内容を適切に整えるため変更を保留すると説明した。当面は既存の規約が適用される。
今回の判断により、出版社や企業が直ちに新しい条件を受け入れなければならない状況は回避された。しかし、AI開発のためにプラットフォームが外部コンテンツへアクセスする範囲をどう定めるかという問題は、まだ解決していない。
主なポイント
- 外部サイトのクロールが利用条件になり得た。 当初の案では、Facebookのビジネスページを維持するため、ページからリンクされた外部サイトをMetaがクロールし、その内容を事業用製品の開発に利用することを認める必要があると読めた。
- 拒否の仕組みが不明確だった。 法律専門家は、規約の幅広い表現によって、サイト運営者が
robots.txtで示したクロール方針をMetaが無視できる可能性を指摘した。ペイウォールの先にある記事へボットが安定してアクセスできるよう、出版社がテスト用認証情報を用意する条項とも受け取られていた。 - 出版社はライセンス交渉力の低下を懸念した。 ニュース企業の多くはFacebookページを運営しているため、Metaが大量の報道コンテンツを取得すれば、AI利用について個別に契約し、対価を支払う必要性が弱まると業界側は警戒した。
- 各国で審査が進んだ。 ブラジルとノルウェーの裁判所は関連条項を阻止する暫定的な差し止めを出した。英国の競争・市場庁は、Metaが支配的な立場を利用してAIに価値のあるデータを取得していないか正式調査を開始した。米国でも超党派の議員が撤回を求めた。
- Metaの説明にも疑問が残る。 Metaはクロールの実務は変わらず、コンテンツ所有者は
robots.txtで希望を示せると説明している。ただし、改訂案にはその方針を尊重する具体的な文言がないと批判されている。
意義と影響
今回の延期は、Metaによる一時的な後退と見ることができる。Metaは業界団体や関係者との協議が終わるまで変更を実施しないとしているが、将来的により広いデータアクセスを求める案が再び示される可能性は残る。
出版社が求めているのは、「train」という言葉を削除することだけではない。どの範囲を収集するのか、収集物を何に使えるのか、ペイウォール内のコンテンツをどう扱うのか、サイト運営者が実際に拒否できるのかを明確にすることが重要だ。単に「製品を開発する」という表現に置き換えても、AI利用への懸念は解消されない。
この問題は著作権やライセンスだけでなく、競争政策にも関わる。大規模な配信プラットフォームが、利用継続の条件としてデータ取得への同意を求めれば、出版社に対する交渉力が偏る可能性がある。今後は、Metaが提出する新しい規約と、各国の裁判所・規制当局による審査が焦点になる。
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