NscaleがAnyscaleを買収へ:AI計算基盤はソフト層まで統合へ
導入
英国のAIネオクラウド企業Nscaleが、AIワークロードを複数のデータセンターやサーバーにまたがって拡張するソフトウェア企業Anyscaleを買収する。TechCrunchがBloomberg報道を引用したところによれば、買収額は約16億5000万ドルとされる。これは単なるソフトウェア企業の取り込みではなく、NscaleがAI計算基盤のより広い領域を押さえようとする動きだ。
重要ポイント
- Anyscaleの基盤はRay。 同社は、分散コンピューティング向けPythonフレームワークProject Rayを作ったチームによって設立された。現在のプラットフォームはRayを中心に、開発者向けツール、可観測性、オーケストレーション機能を提供する。
- 生成AIブームで用途が広がった。 Anyscaleは当初、大量の計算資源を必要とするプロジェクトを動かすための基盤を提供していた。その後、GPT-3以降の大規模モデル需要を受け、LLMの訓練、サービング、データキュレーション、推論、強化学習などへ重点を移した。
- Nscaleは垂直統合を進めている。 同社はエネルギー、データセンター、オーケストレーションソフトウェアに事業領域を広げてきた。Anyscaleを加えることで、顧客が実際にAIワークロードを運用する層まで手を伸ばすことになる。
- 大型資金調達後の一手。 Nscaleは今年3月、20億ドルのシリーズCを調達し、評価額は146億ドルに達した。投資家にはNvidia、Nokia、Blue Owl、Dell、Akerが含まれる。Microsoft、British Telecom、Nordcraftなどとの計算資源・データセンター関連の提携も進めている。
意味と影響
AIインフラ市場の競争は、もはやGPUの台数やデータセンター容量だけでは決まらない。企業がAIを実験段階から本番運用へ移すにつれ、訓練や推論を安定して回し、複数クラスターにまたがるジョブを管理し、性能とコストを把握する能力が重要になる。Anyscaleのようなソフトウェアは、計算資源を実用的なAI基盤へ変換する役割を持つ。
Anyscaleは2022年のシリーズCで13億8000万ドルの評価を受けており、直近四半期の売上高は前四半期比で70%増えたとしている。Nscaleによれば、買収後もAnyscaleは自社ブランドで既存顧客へのサービスを続け、約200人の従業員は全員Nscaleに加わる。
この買収が示すのは、AIインフラ企業がスタック全体を押さえにいく流れだ。電力、データセンター、計算資源、オーケストレーション、開発者ツールが分断されたままでは、顧客のAI運用効率には限界がある。NscaleはAnyscaleを通じて、容量の提供だけでなく、その容量をいかに使いやすく、拡張しやすくするかで競争しようとしている。
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