OpenAIの「Dot」は夕食を注文できる企業向けソフトウェア型エージェント
導入
OpenAIが発表したエージェント基盤「Dots」は、かわいらしいアバターや自由に設定できる名前など、消費者向けAIらしい外観を備えている。チャットで指示を出す画面とは別に、エージェントが仮想マシン上でクリックや入力を行う様子も確認できる。しかし実際に触ってみると、親しみやすい買い物アシスタントというより、かわいい外見を持つ業務ソフトウェアに近い。
Dotはクラウド上のコンピューターからBlenderやGIMPなどのアプリを利用できる。ユーザーが許可すれば、ChatGPTのデスクトップアプリ経由で自分のPCにもアクセスできる。また、電話で作業内容を話しながら指示することも可能だ。OpenAIはまず高額プランの利用者を中心に提供しており、テストには月額100ドルのProアカウントが使われた。この提供方法は、Dotsが日常の買い物よりも仕事や生産性を重視した製品であることを示している。
テストで分かったこと
- インターネット回線の工事予約では、メールから割引情報を見つけたものの、マウスを押し続けるタイプの本人確認で停止した。
- ブラウザーを人間が引き継いだ後、銀行口座情報の入力を求められたが、テスターは仮想ブラウザーへの機密情報入力を避けた。
- コワーキングスペースの無料体験を見つけられず有料のデイパスを提示したほか、Ikeaのアカウントではセキュリティ確認のループに入り、地域の飲食店の注文ページにもアクセスできなかった。
- 一方、個人サイトのデザイン変更や複数動画の結合、SNS向けのサイズ調整では、口頭の要望を実際の成果物に変換できた。
- PCに接続した後は、Webサイトの管理画面を操作し、試作したページをブロック単位で再現できた。ただし、かなり多くの権限を与える必要があった。
意味と課題
この結果は、AIエージェントにとって指示を理解することだけでは不十分だと示している。ログイン、ボット検知、本人確認、決済、サイトごとの防御機能を通過しなければ、作業は完了しない。買い物やアカウント操作は、技術的な難しさに加えて、個人情報や金銭を扱うため、完全自動化のハードルが特に高い。
現時点でDotsに向いているのは、ユーザー自身が管理する環境での作業だ。Webサイトの更新、素材の整理、動画の加工は、結果を確認しやすく、問題があれば修正や取り消しもしやすい。「一般の人向けのCodex」と考えると、製品の位置付けが分かりやすい。何でも代行するオンライン秘書ではなく、決められた範囲の仕事をソフトウェア上で進める作業担当者なのだ。
自然言語で目的を伝え、エージェントがコンピューターを操作して成果を返すという構想には、仕事の進め方を変える可能性がある。ただし、広く使われるには、権限管理、サイトとの互換性、機密情報の保護、人間による確認の設計をさらに改善する必要がある。親しみやすいアバターよりも、信頼できる停止条件と安全な境界線が、普及の鍵になるだろう。
出典:The Verge AI
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