華為のMemento 3は世界モデルで25種類のゲームを攻略
導入
未知のゲームをAIにプレイさせる場合、単に次の操作を選ぶだけでは足りない。AIはまず、何が起きる世界なのか、どの操作がどの結果を生むのかを推測しなければならない。華為ノアの方舟研究室とUCLなどのチームが開発したMemento 3は、この探索と実行を一体化するためのエージェントシステムだ。
提供された研究資料によると、Memento 3はARC-AGI-3公開セットの25種類のゲーム、183ステージをすべてクリアし、RHAEで100点を得た。同じ課題を人間が行う場合の操作回数は約17135回だったのに対し、Memento 3は7518回で、約56%少なかった。重要なのは、専用モデルを新たに訓練したのではなく、探索結果を外部の実行可能な知識として蓄積したことだ。
「コードをモデルにする」仕組み
Memento 3はClaude Opus 5を基盤モデルとして使うが、重みの更新やゲームごとのファインチューニングは行わない。代わりに、次の二つの成果物を更新する。
- ルール手帳:確認できたゲームの規則、目標、操作の効果、未解決の仮説を記録する文書。
- 実行可能な世界モデル:仮説をPythonコードに変換し、状態変化や操作結果をシミュレーションする仕組み。
実際の画面とシミュレーションが一致しなければ、AIは仮説を見直し、手帳とコードを修正する。その後、過去の操作を再現し、64×64画面を比較して修正が正しいか確かめる。つまり、理解は文章だけでなく、実行と検証が可能な形式で保存される。
あるパズルでは、特殊な床を踏むと持っている図形が進入方向に応じて反転すると誤認した。しかし実験を続けると、図形は進入方向に関係なく時計回りに90度回転すると判明し、手帳とコードの両方を更新した。記号解読ゲームでは、後のステージで初期理解が覆され、同じ手帳が11回改訂された。履歴管理によって、誤った変更を確認したり、以前の版へ戻ったりすることもできる。
三つのゲームを使った比較では、ルール手帳を残した場合、操作回数は677回から617回に減少し、エージェントの実行ラウンドも約18%減った。さらにwa30では、世界モデルを一つから二つに増やすことで、操作回数が899回から597回になった。ただし、この効果は現時点で一つのゲームで確認された結果にすぎない。
Pongで大規模言語モデルを外す
チームはAtari Pongでも検証した。Memento 3はボールの反射やラケットの制御を観察し、当初の誤った反射モデルを修正しながら方策を学んだ。方策が安定すると、毎フレームを大規模言語モデルに判断させず、コードだけで操作した。
異なる三つの初期条件で、プログラムはすべて21対0で勝利した。学習に使った画面は約9500フレームだった。これは、モデルに毎回判断させるよりも、モデルには規則の発見とデバッグを任せ、検証済みの制御をプログラムへ移す方が効率的な場面があることを示している。
意義と限界
Memento 3が示すのは、ニューラルネットワークのパラメータを変えなくても、外部記憶、実行可能なシミュレーター、版管理を組み合わせれば、特定の環境内でエージェントを改善できるという方向性だ。規則が比較的安定し、結果を検証できる仕事では、推論呼び出しと操作コストを抑える可能性がある。
一方、現実世界への一般化はまだ未検証だ。今回のゲームは小規模で構造化されており、探索、コード生成、検証には依然としてトークンと計算資源が必要になる。観測が不完全で、規則が変化し、失敗コストが高い環境でも同じ信頼性を保てるかは、今後の課題である。
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