積載4.2トンの自動運転軽トラック、産業物流へ進出
導入
自動運転の商用化は、小型車両によるラストワンマイル配送から、より大きな車両を使った業務輸送へと広がりつつある。九識智能と宇通軽卡が発表した「九識Z20」は、その動きを象徴する4トン級の自動運転軽トラックだ。
Z20の定格積載量は4.2トン、最大許容総重量は6950キログラム、荷室容量は19.32立方メートル。標準パレットを一度におよそ6〜8組運べるという。九識は、同車を自動運転分野で空間と積載量が大きい量産車の一つと位置付けている。
主なポイント
- 対象は工場内物流。 工場、工業団地、大型物流・倉庫拠点内で、部品や資材を車庫、倉庫、作業場の間で繰り返し輸送する。
- 荷役条件に合わせた車体。 対開きドア、油圧テールゲート、二類シャシーの3タイプを用意する。テールゲート仕様は固定バースがない場所に対応し、シャシー仕様は後改造の余地を残す。
- 運行形態に応じた電池。 43.47kWhの標準電池と77.28kWhの長航続電池を設定。長航続仕様は空車時で最大320キロメートル、400V急速充電に対応し、30%から80%まで約30分で充電できる。
- 車両メーカーと自動運転企業の分担。 九識智能がL4システム、認識、計画・制御、複数車両の配車を担い、宇通がシャシー開発、製造、品質管理、車両の一貫性を担当する。センサーは4基のLiDAR、12基の超音波センサーなどで構成される。
なぜ産業物流なのか
工場や倉庫の内部は、一般道路に比べて走行ルートや業務内容を設定しやすい。輸送の頻度や稼働時間も把握しやすいため、人手の削減、車両の稼働率、輸送量といった導入効果を企業が計算しやすい。夜間や複数シフトでの運行が必要な現場では、連続稼働への期待も大きい。
積載量の増加は、単なる大型化にとどまらない。小型の無人配送車では同じ物量を運ぶために複数台・複数回の運行が必要になる場合がある。4トン級の車両なら、運行回数や車両台数を減らせる可能性がある。
一方、無人化の成否は走行だけで決まらない。目的地での荷下ろし、充電による停止、既存設備との接続も重要だ。Z20がテールゲートや複数の車体形態を用意したことは、自動運転をソフトウェア単体ではなく、物流工程全体の製品として設計しようとしていることを示す。
業界への意味
九識智能はこれまでRoboVanを中心に展開し、20の国・地域、300以上の都市で事業を行い、L4の実運行距離1億7000万キロ超、納入・運用車両2万5000台超と説明している。Z20は、そこで得た運用経験を、より重く大きな車両へ拡張する試みである。
ただし大型車両では、制動距離や旋回半径が大きくなり、より早い認識と安定した制御が求められる。まず管理しやすい産業施設内から始めるのは、技術検証と導入効果の測定を両立しやすくするためだろう。
港湾、鉱山、工場、倉庫など、自動運転企業が次に注目するのは、高頻度で繰り返され、価値を数値化しやすい現場である。Z20の登場は、L4の競争軸が「走れるか」から、産業プロセスの中で長期的に安定稼働できるかへ移っていることを示している。
出典:量子位
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