EV王座を失ったテスラ、次は自動運転の利益を狙う
導入
テスラはかつて、電気自動車の普及を加速させた象徴的な企業だった。しかし現在、世界のEV販売首位はBYDに移り、中国メーカーは車両の製造効率だけでなく、車載ソフトウェアや運転支援でも存在感を高めている。こうした環境でテスラは、車をより多く売る戦略だけでなく、販売後もソフトウェアで収益を得るモデルへ軸足を移そうとしている。
中心にあるのがFull Self-Driving(FSD)だ。ただし、現在提供されている監視付きFSDは、運転者が常に状況を確認する必要がある。名称が示す完全自動運転とは異なり、現時点では高度な運転支援システムとして捉えるべきだ。
主なポイント
- 自動車事業は現在もテスラの総収益の約75%を生み、AI開発や事業拡大の資金源になっている。
- 2030年に年間2000万台を販売するという従来目標は500万台へ引き下げられたが、前年の納車実績は160万台で、なお高い目標だ。
- 北米で販売された新車のうち、監視付きFSDを搭載する割合は75%を超え、世界のアクティブなFSDサブスクリプションは170万件に達した。
- 米国でのFSD料金は月額99ドル。テスラはFSDから得ている継続収益の具体額を公表していない。
- ソフトウェアは車両販売より利益率が高いとみられ、利用率を現在の世界顧客の約10〜15%からおよそ半分まで高められれば、収益構造が変わる可能性がある。
意味と影響
EVの航続距離や価格、ハードウェア性能が近づくにつれ、自動車メーカーはソフトウェアとサービスで差別化し、車両の保有期間全体から収益を得ようとしている。XpengはXNGPの欧州承認を目指し、BMWやメルセデス・ベンツなどはQualcommやNvidiaと連携して、より高度な運転支援システムを開発している。GMやFordも、エネルギー貯蔵など車両販売以外の事業を広げようとしている。
テスラにとって最大の短期的な課題は規制だ。完全自動運転版のFSDはまだ承認されていない。監視付きのシステムはオランダなど複数の欧州国で認められているが、EU全体への展開には追加の手続きが必要になる。競合各社も同じ市場で承認を争っており、規制の時期そのものが競争力に影響する。
TeslaとSpaceXの統合案は、AI、素材、製造、半導体調達などで協力を深める可能性を持つ。特にAI計算資源と研究開発でテスラを後押しする余地はある。一方で、統合によってマスク氏の影響力がさらに強まり、異なる事業のリスクが一つの企業に集約される可能性もある。
テスラが証明すべきなのは、ソフトウェア戦略を掲げることではなく、ユーザーがFSDに継続的に料金を支払い、より多くの市場で合法的かつ安全に運用できることだ。自動運転サブスクリプションは車両の追加販売より高い収益性を持ち得るが、現段階ではまだ実現前の大きな期待である。
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