記事一覧へ戻る
ビジネス・資金調達

Mistral、主権型・オープンウェイトAIに30億ユーロを調達

読了目安 3 分

生成AI市場の競争軸は変わりつつある。最も強力なモデルを作れる企業はどこかという問いに加え、企業や政府は、データやインフラ、技術ロードマップの主導権を失わずに高度なAIを使えるかを重視し始めた。フランスのAI企業Mistralは、今回の大型調達をこの需要に応えるための基盤拡大に充てる。

Mistralは、投資後評価額が210億ユーロを超える30億ユーロのシリーズDを完了したと発表した。創業からおよそ3年での調達で、同社は欧州のテクノロジー企業による過去最大の株式調達だとしている。ラウンドはSamsung Electronicsが主導し、EQTが運用するScaleup Europe Fundと既存投資家のPSG Equityが共同主導した。

主なポイント

  • 最先端研究と計算資源を強化。 モデル訓練向けの計算能力、インフラ、商用化、国際展開に投資する。
  • オープンウェイトを継続。 顧客がモデルを制御・カスタマイズし、単一ベンダーの価格やロードマップへの依存を抑えられる構想だ。
  • フルスタックを構築。 モデルだけでなく、それを動かす計算基盤やインフラ、実運用へ導入する製品までを対象にする。
  • 企業顧客を拡大。 Mistralによると、20カ国で事業を展開し、Airbus、ASML、HSBCを含む125社超のグローバル企業を支援している。

Mistralは自社のアプローチを「主権AIレイヤー」と表現する。定義上の主権は、組織の境界内にデータを置くこと、モデルを制御・カスタマイズできること、計算資源をプライベートかつ予測可能にすること、本番システムを完全に制御・監査できることの4点から成る。これは、企業や政府がAI導入時に検討するデータガバナンス、配置場所、長期的なベンダーロックインへの対応を意識したものだ。

投資家の構成も注目される。前回ラウンドをASMLが主導したのに続き、今回はSamsung Electronicsが主導し、欧州、アジア、北米の戦略投資家と金融投資家が参加した。新規投資家にはAdvent、BlackRockが運用するファンドやアカウント、ルクセンブルク大公国が含まれる。a16z、NVIDIA、Salesforce Ventures、Bpifranceなど既存投資家も参加した。

調達額は、最先端モデルに必要な高額な計算基盤を拡張する余力をMistralに与える。一方、資金調達の規模だけでオープンウェイト戦略の優位性が証明されたわけではない。今後は、モデル性能、導入のしやすさ、運用コスト、収益化を通じて、フルスタック構想の持続性を示す必要がある。

Mistralの方針は、ベンチマーク性能だけで競うのではなく、開放性、導入時の統制、技術的自立を製品価値として提示するものだ。企業や公共機関が機密データや業務フローを自組織内に保持しようとするほど、モデルから計算資源、実運用ツールまで提供できる企業の存在感は高まりそうだ。

出典:Hacker News

コメント

ログイン状態を確認中…

コメントを読み込み中…

関連記事

CCTest · Blog
AI計算基盤のNscale、IPO前に35億ドルの資金調達を検討
ビジネス・資金調達
cctest.ai

AI計算基盤のNscale、IPO前に35億ドルの資金調達を検討

英国のAIインフラ企業Nscaleが、IPOを前に総額35億ドルの追加資金調達を検討していると報じられた。Anthropicとは約450億ドル規模の契約を結んでおり、早ければ今月の上場も視野に入れている。

続きを読む